「ひろしま社会起業支援サミット2010」
を開催しました!

・日時:2010年6月27日(日)
・場所:広島経済大学 立町キャンパス
 (市電「立町」からすぐ)

・参加費:無料

 当日の様子等がわかる「事業報告書」はこちらから!
hiroshimasocialsummit2010_report.pdf

2010年06月21日

【社会起業家インタビュー】NPO法人コーチズ 兒玉宏・代表理事


 「ひろしま社会起業支援サミット2010」にて、
 ゲストスピーチを行っていただく、NPO法人コーチズ。

 今回は、本番に先立ち、
 コーチズの兒玉宏・代表理事に、
 インタビューを行いました。

DSC0001.jpg

 今回は、「青少年ケア・サポート事業」当時の様子と、
 全国展開についての話を中心に、インタビューを行いました。

DSC00043_1.JPG 

(高齢者向け事業全体の紹介、ガンバルーン誕生秘話については、
 昨年のインタビューを参照下さい。)

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−「青少年ケア・サポート事業」受託に至ったきっかけは。


 当時は、高齢者向け健康教室も軌道に乗りつつありましたが、
 まだまだ仕事量が少なかったため、時間が空いていました。
 
 その空き時間を使って、顔を出せるところには、
 行政やら民間やら、様々な場所に顔を出していました。

 そうした中、広島県庁を訪問していた際に、
 「青少年ケア・サポート事業」の存在を知ったのです。

 当時は、暴走族の問題が新聞等で取り上げられていましたが、
 県の担当者から様々に話を伺う中で、
 問題がいかに深刻かを、切実に感じさせられました。

 私は、そうした話を伺う中で、

「元暴走族の少年たちが、高齢者のために役に立てるのではないか」

 と思ったのです。
 そうした意味で、最初から暴走族問題を解決するために、
 「青少年ケア・サポート事業」を
 受託したわけではありませんでした。


−「元暴走族の少年たち」を受け入れることに、抵抗はなかったのですか?


 私自身は、まったくありませんでした。

 コーチズのスタッフたちは、心理的抵抗はなかったものの、
 「彼ら彼女らにどう接したらよいか」が分からなかったために、
 最初は不安に感じていました。

 ただ、実際に元暴走族の少年たちに接してみて思うのは、

「もし、自分たちが最初から、
 暴走族に対する接し方のスキルを身につけていたら、
 彼らは、私たちを受け入れてくれなかったのではないか」

 という点です。

 お互いに、その点で構えていなかったからこそ、
 自然に接することができたのではないか、と感じるのです。


−お互いに、どのような関係でしたか? 対等な関係だったのですか?


 いや、最初から上下関係でした。
 上下関係といっても、雇う側、雇われる側の関係ですが。

 現実問題、彼らには他に職がない状態でしたから、
 彼らも必死に働いていました。
 特に、家出した16〜17歳の女の子が働けるところは、
 もう他にない状態でした。

 そうしたわけで、コーチズの中では、
 暴力沙汰などの問題は、一切発生しませんでした。

 ですが、外ではたまにけんかもしていたようですが。


−彼らの働きぶりはいかがでしたか?


 第一に、彼らは彼らなりの強烈な縦社会の中で生きてきたため、
 「組織の論理」というものを理解して、しっかりと働いていました。
 これまで、先輩の指示には絶対服従して動いてきてだけあって、
 指示に対して、的確に動いてくれました。

 第二に、人に対する観察力が非常に高いため、
 高齢者の状況察知能力が非常に高かった。

 「今日は、○○さんは、いつもよりも元気がない」
 「今日は、○○さんは、怒っているようだ」

 そうした微妙な心の変化を敏感に察知して、
 対応を行ってくれていました。

 同時期に、大学生のボランティアも受け入れていたのですが、
 そうしたボランティアと比べて、
 本当に、高齢者の心の機微を読み取る能力に長けていました。
 

−元暴走族の少年たちが講師として訪問することに、
 高齢者の施設側は抵抗なかったのですか?


 
 最初のほうは、非常に抵抗されました。
 第一期生の少年たちは、
 最初はほとんど現場を体験することができませんでした。

 しかし、そこで県の職員が動いてくれ、
 現場を説得してくれました。
 同様に、警察の方も動いてくれました。

 そうして、事業開始から3ヶ月くらいして、
 ようやく受け入れが始まりました。
 その後、新聞等のメディアに取り上げられるようになると、
 
 逆に「私のところで、教室を行って欲しい」という申し出が増え、
 受け入れ先が増えていきました。

 「青少年ケア・サポート事業」は、
 3年間で半年単位で雇用していくスタイルだったのですが、
 第二期生から、多くの少年たちがそこで活躍していきました。


−3年間の中で、心に残るエピソードはありますか?


 最初の頃、彼らと一緒に、
 フラワーフェスティバルで屋台の手伝いに行ったことがあります。

 当時は、暴走族がフラワーフェスティバル等で
 集会を行っていたため、
 警官もたくさん歩いており、
 みんなが暴走族を恐れる状態でした。

 そんな中、昼間からレディースたちが一箇所でたむろしていました。

 警官たちがその強制排除に動こうとしていたそうですが、
 警官の一人がこちらに来て、彼らの一人に話しかけてきました。

 実は、その子は、元レディースのヘッドだったため、
 その子を通して、レディースたちを説得。
 強制排除を行うことなく、無事に問題が解決しました。

 その時、「こいつらすごいんだな」と感じさせられました。


 また、当時、「3年B組金八先生」で
 「南中ソーラン」が流行りました。
 そこで、その踊りを彼らに踊らせたところ、
 彼らは、水を得た魚のように、喜んで踊っていました。

 彼らは、これまでは人前で大声を出して騒いで、
 他の人から嫌われていたのですが、
 南中ソーランを大声で歌いながら踊ると、
 他の人が喜んでくれたのです。

 そして、彼らが喜んで踊っている様子を見て、
 高齢者の方たちも、非常に喜んでいました。
 喜んだだけでなく、自分たちも一緒に踊りたい、
 と言い出しました。

 元気な若者でも、踊ると疲れる南中ソーランを、
 施設の高齢者たちがそのまま踊るのは無理があるため、
 座ったまま踊れる「座・ソーラン」を、
 彼らに開発してもらいました。

 それが、高齢者にも非常に喜んでもらい、
 現在でも続けております。


−現在は、暴走族よりも、
 ニートや引きこもりの若者たちが話題になりますが、
 もし、県からニートや引きこもりの若者たちを
 対象にした事業の依頼があれば、
 引き受けますか?


 
 確かに、この問題は話題になっていて、
 国のほうでも、
 厚生労働省が中心になって対応を進めようとしていますが、
 そうした事業のほとんどが、
 事業仕分けで廃止、縮小されている感があります。

 事業仕分けが悪いわけではないですが、
 ニートやひきこもりの対応が遅れる理由としては、

 第一に、暴走族とは違って、
 引きこもりは他人に迷惑がかからないために、
 問題が見えにくい、という点があろうかと思います。
 引きこもりの人たちは、町中で大声で叫んだり、
 夜中にバイクで騒音を立てて走り回りません。

 第二に、行政としては、現状として高齢者問題のほうが深刻、
 という点があろうかと思います。

 そうした点で、県や市といった行政から、
 こうした依頼が来ることは
 現状では考えにくい。


 ちなみに、事業ではなく、個人レベルの依頼で、
 引きこもりの若者たちを引き受けたことは何回かあります。
 ただ、彼らのような、他人と接することに
 強い苦痛を感じる人たちにとって、
 コーチズの事業はハードルが非常に高いため、
 引き受けた若者たちは、すぐに来なくなってしまいました。


ロイヤリティなしで全国展開


−現在、コーチズの事業は広島のみならず、
 他の都道府県に拡大していますが、
 なぜ、全国展開しようと考えたのですが?
 広島だけにとどめよう、とは考えなかったのですか?



 高齢者の問題は、広島だけでなく、全国の問題です。
 そう考えると、早く全国に展開したいと考えるのは、
 当然の成り行きではないでしょうか。


−全国展開の話をスタッフにしたとき、
 スタッフの反応はどうでしたか?



 みんな喜んでいました。

 全国展開を開始した当時、スタッフには、
 現地で指導をするスタッフと、
 コーチズのノウハウをまとめるスタッフの
 2種類に区分けされており、

 ノウハウをまとめるスタッフの手によって、
 コーチズの事業は、すべてマニュアル化、標準化されていました。

 全国展開するのに、何ら問題のない段階にあったのです。


−マニュアル化、標準化されている事業を展開する場合、
 通常であれば、コンビニのように
 ロイヤリティを受け取る場合が多いですが、
 コーチズの場合も、他の県で活動する団体に対しては、
 ロイヤリティを受け取っているのですか?


 
 ロイヤリティは受け取っていません。
 基本的な運営は、自由裁量に任せています。

 また、事業展開の方向性として、
 行政に直接販売とか、
 企業に販売するという可能性もありましたが、

 私たちは、自分たちのように、
 行政に準じて、行政の委託を受けて活動する団体に、
 事業の展開を行っています。

 基本的な運営は自由裁量のため、
 各県の団体名も原則自由なのですが、
 実質は「コーチズ○○」「○○コーチズ」で
 皆さん活動されています。
 その方が、広島のコーチズの実績をそのまま、行政に報告でき、
 活動に有利になるためです。


−ロイヤリティを受け取らなかった理由は?


 第一に、その方が他県で活動する団体も、
 活動がやりやすいと考えたからです。

 第二に、ロイヤリティを受け取らなくても、
 コーチズの事業を行うからには、
 ガンバルーンやテキストを購入せざるを得ず、
 その利益で十分だからです。

 他県で活動が広がれば、その分ガンバルーンは売れます。
 これが、全国47都道府県となると、
 ガンバルーンの利益だけで、
 非常に高い収益を上げることができます。


引きこもり、自殺等の問題は、もはや特定世代の問題ではない


−今年のサミットで取り扱う社会問題は
「自殺、虐待の防止」「ニート等の若者支援」です。
 この問題について、コーチズの事業を通して
 感じることはありますか?



 まず、「自殺」も「ニート、引きこもり」も、
 特定世代の問題ではなくなっていると感じます。
 「少年問題」「青年問題」「高齢者問題」といった
 従来的な枠組みだけでは、問題の解決に至ることができない。

 たとえば、ひきこもり。

 よく、若者の問題としてクローズアップされがちですが、
 高齢者の引きこもりも、それに劣らず深刻な問題です。
 最近「無縁社会」という言葉で、
 その問題も認知されつつあります。

 
 あとは、相互無理解の問題。

 引きこもりを例にすると、よく

 「ひきこもり=外界と完全に遮断=一切労働しない=負け組」

 というイメージがありますが、
 そうしたイメージだけで問題を判断すると、
 問題を取り逃がすことがあります。

 実際は、ひきこもりの中にも、ネットを使って、
 サラリーマンの数倍ももうけている、ひきこもりもいます。


−そうした人は、「ネオニート」と呼ばれていますね。


 ですが、多くの大人たちは、そうした現状を知らずにいます。
 また、多くの引きこもりにとっては

「ネットを通して、すでに外界に接している」

 という感覚があるため、
 そうした人にとっては、

「なんで、外に出ないといけないのか」

 という感覚になり、
 外に出ないといけない、
 という大人たちと意見が合わなくなります。


 ただ、うつ病と引きこもりが併発した深刻な状態だと、
 医者の治療が必要になります。


社会起業家を目指す人は、リスクを恐れてはいけない


−最後に、社会起業家に感心のある方、特に若い人に対して、
 メッセージをお願いします。



 まず、

「自分のできること、スキルを使って社会問題解決」
 
 という考え方ではなく、

「社会問題解決のために、何をすべきか。

 自分のスキルで何とかなるなら、自分で取り組むし、
 自分のスキルで何ともならないなら、できる人を探す」


 という考え方が大切だと思います。


 あとは、社会起業に限らず、
 リスクを恐れないことだと思います。

 今の風潮として、
「失敗したらもうアウト」という風潮が強いです。
 特に、若い世代に強いと感じます。
 とにかく、起業しようという人が少ない。

 「失敗したらもうアウト」というのは、
 錯覚にすぎないのですが。

 「ひきこもり」を、人と接したくない、という側面だけでなく、
 リスクを冒さずに安全に過ごしたい、という側面で考えると、
 今、日本全体が引きこもっているのではないか、と感じます。

 今の若い世代の親、バブル世代の親が実感していた

「良い学校、企業に入ればOK」という価値観が、
 若い世代に浸透しているためなのだといえますが、

 そうした価値観は、すでに崩壊していることを、
 理解する必要があります。


−本日は、お忙しい中、本当にありがとうございました!
 
 

 
posted by ccc_summit_hiroshima at 21:09| Comment(0) | 社会起業家インタビュー(2010) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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