「ひろしま社会起業支援サミット2010」
を開催しました!

・日時:2010年6月27日(日)
・場所:広島経済大学 立町キャンパス
 (市電「立町」からすぐ)

・参加費:無料

 当日の様子等がわかる「事業報告書」はこちらから!
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2014年02月12日

<社会起業とは>『世界を変える偉大なNPOの条件』-28-



NPOの協働、ネットワークのありかたについて、
原則と事例両方のアプローチの一環として、

『世界を変える偉大なNPOの条件』(以下、資料と記載)を、
題材に考えていったわけですが、
しばらく、資料を使って、
もう少し組織内部の話をします。
具体的には、ヒト、カネ、組織運営の話です。



ま、協働、ネットワークとは少し外れますが、
その土台となるお話です。

6つの原則を取り入れて外部に働きかけ、
影響力を高めると同時に、
その影響力を持続させるためには、
組織基盤の整備に資金を使う必要がある。

いずれか一方ではなく、その両方が必要である


今回は、そのうち「ヒト」について。

○「ヒト」のあり方は日本の一般企業でも考えるべき

資料で、「ヒト」について記載しているポイントは…

1.最初に「何をするか」、その後で「誰がするか」
2.報酬
3.非管理職のキャリアパスを設ける
4.仕事ができない人を解雇する

1以外は、NPOのみならず、
日本の営利企業でも考えないといけないポイントですね。
(4は企業努力でどうこうというレベルではないですが)

まず1について。

一般的に組織としては、適材適所で人材を配置したい。
資料でも言及している『ビジョナリー・カンパニー』なんかても、
「適切な人をバスに乗せる」ことが重要だと言っています。

『ビジョナリー・カンパニー』を書いたジム・コリンズは、

「最初に人を選び、その後に目標を選ぶ」ことが、
重要だと言っています。

適切な人をバスに乗せさえすれば、
そのバスがどこからどこへ行くか、
最短距離で運んでくれる。

言い換えれば、優秀な人材を選べれば、
戦略と戦術は、そうした人材が考えてくれる。

「適材適所で人材を配置したい」というのは、
NPOでも同じことなのですが、

「適材適所」の考え方が、NPOの場合は異なります。

「NPOの世界では、第一に『何をするか』であり、
人を選ぶのはその後である」

「何をするか」の部分は、組織のミッション、ビジョンです。
 組織の使命といえるところです。

「これらの組織は、使命に対して情熱を持ち、
その文化にあう人を探している。

言い換えれば、
彼らはバスがどこに向かうのかをすでに知っていて、
同じ方向を目指してくれるよい人材を探しているわけだ」

一般的には、適材適所とは、
各人の能力に沿っていることが多いです。

NPOの世界でも、能力、技能はもちろん重要ですが、
それ以上に、組織の使命に対して、
情熱を持っているかが重要だと言っています。

「使命とか情熱とかって、なんか、
 ブラック企業が社員をこき使ういいわけじゃね?」

昨今の風潮では、そんな批判も聞こえてきそうですね。
ま、NPO業界なんて、
ほとんどがブラックNPOじゃないですかね?

だからこそ、2の報酬、福利厚生の観点が問われる。

使命とお金の両方が、この順番で重要である

報酬に大きな不満を持つNPOの幹部は、
満足している幹部に比べ、
1年以内に辞める確率が2倍になることが、
最近の調査で確認されている


もちろん、どんな組織でも、
最初から社員、メンバーに、
十分な報酬、福利厚生を提供できるなんてことはありえない。

もちろん最初は違っていた。
ほとんどの組織は、創設期にその時期の他の団体と同じように、
非常に低い報酬しか払っていなかったが、
成長するにつれて最高水準へと変化している


ポイントは、資料で出てくるNPOたちは、
優秀な人材を雇い続けたいから支払っている、という点。

資料で出てくるNPOで、終身雇用・年功序列なんて制度を、
採用しているところなんて一つもない。

だから、優秀な人材を雇い続けたいなら、
その分カネを支払うしかない。

某国のように、

「最初は給料激安プライスでも、
働き続ければその分給料上げるから」

な〜んてことは、
少なくとも資料で出てくるNPOではやってない。

となると、NPO業界で給料が上がる道は?

そこで、3の「非管理職のキャリアパス」の問題が出てきます。
まずは、資料のこの記載をどうぞ。

多くの人は教育や環境などの課題に対する強い思いから、
このセクターで働き始める。

そういった人たちはその分野の技術も知識も持っているが、
たいていのNPOでは、
管理運営責任を負うことが出世の唯一の道となっている。

しかし昇進によって、リーダーたちが、
研究や著作活動、現場での運営や政策提言など、
自分の強みを失ってしまうことが多い


……なんか、NPOとかそんなの関係なしに、
多くの企業でも、そうなってますよね。

IT業界でいえば、プロマネになることが出世の唯一の道で、
プログラマーが自分の強みを失うことが多かったりします。

IT業界でも、一部の企業では、
プログラマーを突き詰めるといった、
非管理職のキャリアパスが認められているところもあります。

NPOの場合、求められる技能が多岐にわたることが多いため、
いっそう、非管理職のキャリアパスを整備することが求められる。

活躍している幹部職員に対し、
エコノミストや科学者、政策研究者、アナリストなど、
専門家としての非管理職のキャリアパスも、
同時に設けている


才能ある管理者とともに、
各分野の専門家を引き留める制度を整えれば、
幹部人材の留保率が高まる。

これは、きわめて高い水準の影響力を持続させるための
基本的要素だと考えられる


ただ、資料でもそうなのですが、
一般的に「非管理職のキャリアパス」となると、
 専門職のキャリアパスというケースがほとんどです。

NPOの場合、一般ボランティアのキャリアパスというものを、
 考える必要があるのかも、しれませんね。

ま、ボランティアなので、
金銭的な面以外のキャリアパスになるのですが。

5年以上ボランティアとして携わっている方に、
「熟練ボランティア」の役職を与えるとか、
そんなところでしょうかね。

さて、「4.仕事ができない人を解雇する」
これは、反発が強そうですよね。

「できない人を解雇する」なんてのは、
一般企業の世界であって、
NPO、ボランティア業界は、そうあってほしくない。
そういう人って、少なくない気がします。

個人的には、そういう人は、
NPOやボランティアを、自分の承認欲求を満たしてくれる場として、
とらえているのではないのかな、なんて思うことがあります。

確かに、NPOで活動していると、
「ありがとう」と言ってもらいやすいですしね。
分野や事業にもよりますが。

でも、NPOってのは、
承認欲求を満たす場を提供する(居場所作りとか)を、
ミッションにしているところでないかぎり、

社会課題を解決するためにあるのであって、
スタッフの承認欲求を満たすためにあるのではない。

また、べき論的な意見としても、
NPOどうこうではなく、一般企業も含めて、

「事業主は、従業員に特別な過失でもない限り、
従業員が希望する限りは雇い続けないといけない」

という意見も、根強いですよね。

そうした考え方からすれば、
資料で言ってることは非人道的だ!
ということになるんでしょうね。

ここでは、そうした考え方に対して、
どうこう言うつもりはありません。
実際のところ、資料にも、

使命への情熱があって一生懸命だが、
仕事ができなかったり、
組織に合わない人を解雇するのは、難しいことだ


NPOにとっては使命が基礎にあり、
営利企業に比べて情緒的な側面を重んじる傾向があるため、
仕事ができない人を長く留めおいてしまうという罠に陥りやすい


と記載されています。

社会通念において、日本よりもはるかに解雇規制がゆるゆるな、
というより「嫌なら辞めて他のところで働く(雇用の流動性)」が、
日本よりもはるかに徹底しているアメリカで活躍するNPOでも、

「いい人」にとっては、人の首を切ることは難しい。

ただ……

それでは組織の有効性にマイナスが生じ、
本来あるべき姿よりも効率が悪くなる。

また、仕事ができない人が甘やかされているのを見ると、
才能ある人は意欲がそがれる。

さらに重要な点は、
野心的な目標を持つ組織が、
資源が限られたなかで目指す影響力を発揮できるためには、
強力な人材が必要なことである。

無駄にできるものは何一つないはずだ


なんか、ビジネス誌にでも出てそうな指摘ですね。

さらに、資料には、
エンバイロメンタル・ディフェンスの方による、
こんな厳しい意見も…

「私たちは、解雇する責任を負うべきだと考えている。
人を解雇しない管理者がいたり、
そういう部門があったりすれば、その担当者と会う。

(中略)

もし、可能な限り最も優秀な人材を雇っていないなら、
そして自分たちを甘やかしているのなら、
この組織はおしまいだ」


…日本企業で、誰かがこんなことつぶやいたら、
かなりの確率で炎上しそうですな。

ま、個人的には、

「従業員は一切解雇しない」ポリシーを貫くことで、
その方がよりミッションを達成できると考えるなら、
それはそれでいいと思います。
その逆もしかり。

ただ、NPO法が改正されて、
 NPO業界にも、整理解雇の四要件が適用される、
 なんてことは、絶対に阻止しないといけないとは思います。

○組織の成長度と優秀な人材との関連

ぶっちゃけ、資料に出てくるような偉大なNPOは、
成功して資金面でもある程度安定している。

では、

優秀な人材を確保、維持できる方法を
 編み出したから成功したのか?

それとも、

成功して資金面でもある程度安定したから、
 優秀な人材を確保、維持できるのか?

資料には、

「研究には、組織の規模と人材の保持能力の間に
相関関係があることを示している。

結論はおそらく両方だ」

と書かれています。
ま、そうでしょうね……

ただ、「組織の規模」という言葉を、
文字通りとらえるなら、
優秀な人材は大企業とか、
大きな団体にしか集まらないことになる。

それだと、成長する組織と優秀な人材の
関連がぼやけてしまう。

その点で、資料の以下の記載は、
NPOだけでなく、成長するベンチャー企業と、
そこに集まる人材の関係を示しているようで興味深い。

人は、真の影響力を持ち、
成功を収めている組織で働きたいと思う。

本当に社会に変化をもたらしていると実感し、
面白くて意欲の高い仲間に囲まれ、

報酬も多くの場合十分で、
組織が成長するにつれて新しいことに挑戦できる。

結果として、彼らは組織にとどまる。

よい人材がいれば、組織も引き続き成果を出すことができる。
こうやって自律的に組織が強化される循環が生まれる


ただ、上記の文章を見ても、
これって、ブラック企業の募集うたい文句じゃね?
と思う人が多そうですよねぇ。

ま、そう思うのであれば、
そもそも団体のミッションと合わないのだから、
最初からお断り、ということになるんですが…

ブラック企業に対して、
ホワイト企業というものを考えるとすると、
資料の記載をある程度逆にすればいいのでしょうかね?

「人は、大きすぎてつぶせない規模の
 (業績悪化したら税金で救済してもらえる)影響力を持ち、
 絶対に解雇されない組織で働きたいと思う。

 本当に社会全体の中で勝ち組であると実感し、
 意識高い系ではなく、
 仕事帰りに会社の愚痴を酒場で言い合える仲間に囲まれ、

 報酬も多くの場合十分(年齢に応じて上がっていく)で、
 勤務年数とともに研修、業務などを通して成長させてもらえる。

 結果として、彼らは組織にとどまる」

いいね!

ま、個人的には会社の愚痴を言い合う仲間は、
そこまで執着しませんが、
それ以外は、やっぱり理想じゃないですかねぇ?

あとは、残業がほとんどない、とかね。

問題は、そんな企業あるのか? という点ですけど。
公務員も、最近はバッシングで先行き厳しいしなぁ。
少なくとも、資料に出てくるNPOでは、確実にそんなのやってないですが。

…次回は「カネ」について触れます。




※この記事は、P-SONICのHP記事より転載しております。
http://www.psonic.org
posted by ccc_summit_hiroshima at 20:07| Comment(0) | 社会起業トピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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