「ひろしま社会起業支援サミット2010」
を開催しました!

・日時:2010年6月27日(日)
・場所:広島経済大学 立町キャンパス
 (市電「立町」からすぐ)

・参加費:無料

 当日の様子等がわかる「事業報告書」はこちらから!
hiroshimasocialsummit2010_report.pdf

2015年05月25日

「死亡前死因分析」とは?



今回は、

「クラウドファンディング成功の秘訣は何か?」について、

成功事例研究とは違ったアプローチで、
考えてみたいと思います。
そのアプローチとは……

「『なぜ、自分たちのクラウドファンディングは失敗したか』を、
 クラウドファンディングを始める前に考える」

間違えてはいけないのは、

「失敗しそうなのはどの部分か」を考えるのではなく、

「もうすでに、クラウドファンディングは失敗!
期日にお金は集まりませんでした!」

という前提の元に、

「なぜ、クラウドファンディングが失敗したか」について、
 始める前(キックオフミーティング時)に、
 皆で考えましょう、というアプローチです。

このアプローチのことを、
「死亡前死因分析」といいます。

「死亡前死因分析」について知ったのは、
『ファスト&スロー』を読んでたときなんですが、
正直、しびれましたね。

「やり方は簡単で、何か重要な決定に立ち至ったとき、
まだそれを正式に発表しないうちに、
その決定をよく知っている人たちに集まってもらう。

そして、

『いまが一年後だと想像してください。
 私たちは、さきほど決めた計画を実行しました。
 すると大失敗に終わりました。

 どんなふうに失敗したのか、
 5〜10分でその経過を簡単にまとめてください』

と頼む。」


ま、これは、カーネマンのアイデアではなく、
カーネマンの「敵対的な共同研究者」
ゲーリー・クラインが考え出した方法なんだそうですけど。

カーネマンも、

「クラインのこのアイデアには、たいていの人が感嘆する」

といってますが、
確かに感嘆もんですね。

 
○「死亡前死因分析」アプローチのいいところ
 

さっきから、「死亡前死因分析」について、
感嘆もんだと言ってるわけですが、

このアプローチの何がいいかというと、

(1)過度の楽観主義を是正できる
(2)集団浅慮を是正できる
(3)外部情報を取り入れやすくなる
(4)言霊信仰から脱却しやすい
(5)失敗にあらかじめ向き合うことで、不安から解消される

 

まぁ、楽観主義でいたほうが、
人生は楽しいとは思います。
それは間違いない。

そもそも、悲観主義者だったら、
よほどでもない限り、

クラウドファンディングとか起業とか、
そんなのを始めようなんて思わないでしょう。

楽観主義だと、失敗しても立ち直りが早いし。

それでも、いきすぎた楽観主義は、
失敗への道でもあるわけで、
多少是正できるのであれば、したほうがいいでしょう。

さて、一般的な起業家といった人たちは、
楽観主義が行動のベースなんだろうといえます。

ただ、NPO系の人たちは、
楽観主義というよりも、
一種の使命感がベースになっている。

だから、悲観主義者だけども、
使命感に押されて、プロジェクトを始めた。
そんな人もいそうなんですけどね。

ただ、やっぱり、
社会起業家たちの言動を観察すると、
楽観主義者な人が多いなぁと思います(いい意味で)。

これは、自分と周囲を鼓舞するために、
ある種意識して楽観主義を通しているのかな。
そんな風に思います。

 
しかし、意識して楽観主義を通そうとすると、
時に集団浅慮のワナにはまります。

集団浅慮(グループシンク)については、
Wikipediaにてよくまとまっています。

集団思考
http://goo.gl/5muAao

Wikipediaでは、
次にあげる先行条件があるとき、集団思考の兆候が現れ、
それが欠陥のある意思決定につながるとのこと。


<先行条件>

1.団結力のある集団が、
2.構造的な組織上の欠陥を抱え、
3.刺激の多い状況に置かれる


もちろん、団結力がなければ、
集団浅慮以前に、組織が分裂するので、
それ以前の話ではあります。

問題なのは、その先。

「構造的な組織上の欠陥」とは、

・メンバーに発言の機会を平等に与える公平なリーダーシップの欠如
・整然とした手続きを求める規範の欠如
・構成員の社会的背景とアイデンティティの均一性

が例に挙げられています。

NPOの場合、組織力がよほどしっかりしてないと、
全部満たしてると思いませんか?
「刺激の多い状況」とは、

・リーダーの意見よりもよい解決策が望めないような、
 集団外部からの強い脅威

が挙げられています。

わかりやすいのは、「カネがない!」とかでしょうかね?

こうした先行条件がそろっていると、
集団浅慮を犯しやすい。



・自分たちの集団に対する過大評価
・閉ざされた意識
・均一性への圧力


こうした結果、具体的に、
以下の欠点のある決定をしやすい。

1.代替案を充分に精査しない
2.目標を充分に精査しない
3.採用しようとしている選択肢の危険性を検討しない
4.いったん否定された代替案は再検討しない
5.情報をよく探さない、
6.手元にある情報の取捨選択に偏向がある
7.非常事態に対応する計画を策定できない

 

クラウドファンディングといった、
プロジェクトがいったん動いてしまうと、

この手の集団浅慮から抜け出すことは、
非常に難しい。

じゃあ、やる前から、

「なぜ失敗したのかを列挙する」方法をとれば、

様々な外部情報に対して、
耳を傾けやすくなる。

たとえば、クラウドファンディングの場合、
集団浅慮というか、イケイケモードになっていると、

「自分らの活動だったら、
外部から注目されて、外部資金が集まっちゃって、
それだけで目標達成できちゃうんじゃないか。」

そんな妄想を抱きがちですが、

「3:4:3の法則」といった外部情報も、
この時点で「死亡前死因分析」やれば、
まだ受け入れやすい。

その点も、「死亡前死因分析」の良い点ですね。
加えて、日本には「言霊信仰」が根強い。
要は、「言ったことがその通りになる」ってやつですよ。

これは、集団浅慮とのからみでもあるんですが、
プロジェクト中に、リスク要因を述べると、

 「そんなことをいうと、実際そうなってしまうじゃないか」

と批判され、
実際にそのリスクが起こると、

 「お前があのときあんなこと言うから、
  実際にリスクが発生したじゃないか!」

と叱咤されてしまう。

本来なら、リスク要因はきちんと明確にして、
それに対応するのがセオリーであり、
事前にリスクを指摘することは、
むしろ素晴らしいことなのに。

 

言霊信仰とのからみで、
「死亡前死因分析」をやるとなると、

「そんな後ろ向きな考え方だと、先に進めない……」
「やる前から、なんで失敗したかを考えるのは、
心が折れてしまう……」

といった批判も、十分あり得ます。

ただ、こうした批判の裏には、どこかで、

「失敗したらどうしよぅ……」

という、漠然とした不安がある。

不安が漠然としているから、
そこから目を背けるために、
不安を直視することを避けてしまう。
それに対して、

「死亡前死因分析」は、むしろ、
 漠然とした不安に向き合い、
 事前に不安要因を明確にする効果がある。

 

……次回は、「死亡前死因分析」の心構え、
およびそのプロセスを、みてみることにします。



※この記事は、P-SONICのHP記事より転載しております。
http://www.psonic.org
posted by ccc_summit_hiroshima at 20:36| Comment(0) | 社会起業トピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月12日

内部資金を集めるには、普段の「信頼残高」が大事



以前紹介した「ためまっぷプロジェクト」
クラウドファンディングサイト「READYFOR?」での
クラウドファンディングにて、
見事、130万円もの寄付を集めることに成功しました。

tamemap1

https://readyfor.jp/projects/tamemap/

「ためまっぷプロジェクト」の
清水義弘代表インタビューをベースに、

「クラウドファンディング成功の秘訣は何か?」

そのヒントを探るコーナー。

インタビューの内容から、
個人的にポイントをまとめてみると、
以下の3つになろうかと考えています。

1.「130万円の資金調達の経費が300万円」をどうとらえるか
2.「3:4:3」の法則
3.協働のための「7つの習慣」の観点から

今回は、第三の観点、7つの習慣の観点から。

P-SONICでは、過去、
7つの習慣をとりあげています。

"名作選・協働の原則論としての『7つの習慣』"
http://www.psonic.org/archive_whatcbsb/selection2/

 
○自分ができる「影響の輪」で、目標達成の見通しがたつか
 

7つの習慣の視点でクラウドファンディングを考えると、
個人的には、以下の点が注目できるかと思います。

3-1.関心の輪(目標額達成)と影響の輪(そのために自分ができること)
3-2.信頼残高とクラウドファンディング

他にも、いろいろな視点で考えることができそうですが、
今回はこのへんで。

クラウドファンディングの場合、
当たり前ですが、関心は目標額の達成。

ただ、目標額に到達できるかどうかを、
 自分でコントロールすることは、基本できない。

(もちろん、最終日になっても支援があと少し集まらないときに、
最後に自分で寄付するといった「帳尻合わせ」なら、
できるのでしょうが、そんな話ではありません)

自分でコントロールできることは、
クラウドファンディングの場合だと……

・支援者候補リストを作成し、コンタクト件数を決めてコンタクト
・ツイッターやフェイスブックに、1日1回以上書込をする
・定期的に、クラウドファンディングページに近況報告

こうした、7つの習慣でいうところの、「影響の輪」を、
どう広げる活動を行っていくか。

それがポイントになるのだろう、と思います。

ただ、資金調達「3:4:3」の法則から鑑みても、
アナタがもし無名の人であれば、
インターネットだけでどんなに熱心に書き込みしても、
「影響の輪」を広げることは、限度があるといえます。

"資金調達「3:4:3」の法則のポイントは?"
http://www.psonic.org/archive_whatcbsb/no131/

ここから先は、ちょっとぶっちゃけ話になりますが、
資金調達「3:4:3」の法則から鑑みても……

・自分(および団体内の人)の知り合いで、
寄付してくれそうな人リストを
一定人数以上作成できるか

・リストの人をA〜Cランクに作成し、

Aランク:中レベル以上の寄付(1万円以上)が期待できる
Bランク:最下位レベルの寄付(2〜3千円)が期待できる
Cランク:ダメもと

で、A、Bランクの合計額が、
目標の100%位になっているか。
(実際集まるのは、かなり好意的にみてその半額以下)

ここまでの土台があってはじめて、
「影響の輪」を広げて、成果に結びつくのでは?

ま、こういう考え方は、
あまり好きでない人も多いかもしれませんねぇ。

何より、人間関係を一種の「金づる」扱いしてしまうと、
アナタの信頼残高が下がる可能性が高い。

 
○クラウドファンディングと「信頼残高」
 

通常のファンドレイジングではもちろん、
クラウドファンディングでも、
7つの習慣でいう「信頼残高」の考え方は、
重要な考え方だといえます。

信頼残高とは、『7つの習慣』では、

[note]「ある関係において築かれた信頼のレベルを表す比喩表現であり、
言い換えれば、その人に接する安心感だといえるだろう」[/note]

"『7つの習慣』から協働のあり方を考える -4-"
http://www.psonic.org/archive_whatcbsb/no79/

『7つの習慣』では、
信頼残高を高くする(預け入れる)には、
以下のことが必要だと説きます。

(1)相手を理解する
(2)小さなことを大切にする
(3)約束を守る
(4)期待を明確にする
(5)誠実さを示す
(6)引き出しをしてしまったときは、誠意をもって謝る

まず、クラウドファンディングで、
クラウドファンディングページの新規訪問者に対しては…

(1)相手を理解する

新規訪問者は、よほどでもない限り、
じっくりとサイトを見てくれません。

「まず伝えたいことを、わかりやすく簡明に説明する」

これが、相手の立場からすれば、
非常に大切なことです。

とはいえ、これは、
よほど文章作成とかの訓練をしていないと、
一人でやることは限界です。

その場合は、

「多くの人からフィードバックをもらって改良する」

これが一つの手といえます。

特に、「何が言いたいのか分からない」場合、
多くの人に直接口頭で話した上で、
フィードバックをもらうのがよいのでしょう。

ためまっぷプロジェクトも、
そうしてクラウドファンディングページを
改良したとのことです。

(2)小さなことを大切にする

クラウドファンディングの場合、
(1)とも重なるのですが、

文章のわかりやすさとか、
フォントとか、字の大きさとか(webでは限度がありますが)、
写真の見栄えとか、

ともすると、プロジェクト主催者側からすれば、

「そんな、本質ではなくて些末なこと」に、
多くの人は左右されます。

ま、これも、
フィードバックで改良するのがいいのでしょう。

(3)約束を守る

クラウドファンディングの場合、
目標達成後に、きちんとギフトを届けることが肝要。

これがうまくいかなかったクラウドファンディングも、
ものづくり系では、意外と多いそうです。

そうなると、信頼残高もへったくれもないですね。

(4)期待を明確にする

クラウドファンディングの場合、

・ギフトを明確にする
・このプロジェクトを通して、何が実現されるか明確にする

この両面があるでしょう。

特に、後者がなんだかぼんやりしたクラウドファンディングは、
成功の見込みは低いでしょう。

後者の場合、イメージ図を作成するのが、
ポイントになるのかもしれません。
(文書だけでは厳しい)

(5)誠実さを示す

クラウドファンディングの場合、

質問や意見などがあったら、
なるべく早めにレスを返す、といったところでしょうか。

忙しいと、なおざりになりがちですが、
これを怠ると、信頼残高は下がります。

あと、ツイッターなんかでは、
ときにはめんどっちいのが絡んでくることもありえますが、
そういった粘着質な攻撃とかに対しても、
一定の誠実さを示すべきでしょう。

具体的には、丁寧な言葉で、
相手の批判に対して、丁寧に回答する、
といったところでしょうか。

ま、限度が一定を超えれば、
さっさとブロックするのが吉。

これを通して、めんどっちい人の信頼残高が上がることは、
基本はまずありえませんが、
そうしたやりとりを見ている他のユーザーの、
信頼残高を上げることは可能です。

 

あと、それ以上に大切なのは、
寄付してくれそうな人の信頼残高についてでしょう。

さっきの話と矛盾するようですが、
寄付してくれそうな人を「金づる」とみなすと、
信頼残高は決定的に引き出されてしまいます。

実際のところ、普段からの自分のあり方が、
決定的な影響を与える、といっていいのでしょう。

(1)相手を理解する
(2)小さなことを大切にする
(3)約束を守る

相手が何を望んでいるのか、
相手と普段どのように接しているのか。
このことは、非常に重要です。

まず、相手が家族や友達の場合、

「普段から、定期的に交流したい」のが、
ま、たいていの場合望みとなるでしょう。

普段から、人間関係を絶やさず、
離れたところにいる家族や友達には、
定期的に何らかのコンタクトをとっておくことが大事。

こうした人たちが悩みを相談してくれば、
心から傾聴してあげ、
できることは手助けする。

これは、相手が他の団体とかの場合でも同様。
普段から、いかに日常的に接しておくか。

これは、実に小さなことかもしれませんが、
いざというとき、実に響いてきます。

ていうか、この手の内部への「お願い」で、
実際のところありがちなのが、

「普段は何にも連絡しないのに、
お願いだけは丁寧にしてくる」

というパターンでしょう。
これでは、信頼残高は決定的に引き出されてしまいます。


(5)誠実さを示す

先ほどの

「普段は何にも連絡しないのに、
お願いだけは丁寧にしてくる」

というのは、
「誠実さがない」ともいえるでしょう。

普段から、変わらぬおつきあいが大切。

(6)引き出しをしてしまったときは、誠意をもって謝る

別に、寄付のお願いを、
誠意をもって謝る、というわけではないです。

正直、これまでの信頼残高があれば、
寄付をお願いする行為が、
信頼残高を著しく下げることにはならないはずです。
(まぁ、額にもよりますけど……)

これも、普段から、
不誠実なことをしたとか、
約束を破ったとかの時に、
誠意をもって謝る、ということになります。

 
○最後に
 

以上、これまで、

「ためまっぷプロジェクト」の事例をベースに、
「クラウドファンディング成功の秘訣は何か?」を、
みていきました。

いかがだったでしょうか?

おそらく、多くの人は、
以下の2つのうち、どちらか(あるいは両方)の感想を抱いたのでは?

「自分には、そんなに広い交友関係がないから厳しい……」
「ていうか、これって後付けで理屈こね回してるだけだよね?」

前者の感想は、まぁ自然な感想でしょう。

個人的には、NPO系のクラウドファンディングの場合、
知名度のない個人や団体が、
外部資金だけで目標達成するというのは、
目標を意識的に低く設定しない限り、正直難しいと思っています。

 

後者の感想は、ちょっとひねた感想ですが、
個人的には、全くその通りだと思います。

仮に、「ためまっぷプロジェクト」が目標達成せずに、
その理由を分析するとしても、

「外部資金を獲得する努力が足りなかった」
「効率的な訪問ができていなかった」

とか、同じ事象から、失敗のもっともらしい理由を、
つらつらと(無責任に)述べているでしょう。

こうした傾向を、「後知恵バイアス」といいます。

成功者には、成功に至るにふさわしい物語が与えられ、
失敗者は、失敗するべく失敗した、的なバイアスです。

これまでの話で、色々と感動とかを受けた人にとっては、
ある種、その感動をぶち壊すようなお話ですが、
重要な観点だと思います。

 

次回は、成功事例である「ためまっぷプロジェクト」ではなく、
架空のクラウドファンディングプロジェクトをテーマに、

「クラウドファンディングは、なぜ失敗したか?」を、
やる前に考えよう、というお話をしたいと思います。

「お前はもう、死んでいる」的なお話ですね。




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