「ひろしま社会起業支援サミット2010」
を開催しました!

・日時:2010年6月27日(日)
・場所:広島経済大学 立町キャンパス
 (市電「立町」からすぐ)

・参加費:無料

 当日の様子等がわかる「事業報告書」はこちらから!
hiroshimasocialsummit2010_report.pdf

2014年03月12日

<社会起業とは>『世界を変える偉大なNPOの条件』-30-



NPOの協働、ネットワークのありかたについて、
原則と事例両方のアプローチの一環として、

『世界を変える偉大なNPOの条件』(以下、資料と記載)を、
題材に考えていったわけですが、



しばらく、資料を使って、
もう少し組織内部の話をします。
具体的には、ヒト、カネ、組織運営の話です。

ま、協働、ネットワークとは少し外れますが、
その土台となるお話です。

6つの原則を取り入れて外部に働きかけ、
影響力を高めると同時に、
その影響力を持続させるためには、
組織基盤の整備に資金を使う必要がある。

いずれか一方ではなく、その両方が必要である


今回は、そのうち「組織」について。


○「組織基盤の整備」とは、
格安なカンフル剤をうつことではない



NPO業界で「組織基盤の整備」というと、
リーダーシップとか、マネジメント講座とか、
そっち系に話がいきがちな傾向にあります。

確かに、そっち系のお話は大事なことです。
ただ、そっち系のお話が持つワナは何かというと、

「基本、お金のかからない組織基盤の整備をやって、
 これで組織が成長するような気がしているだけ」

ということですね。
格安なカンフル剤といえます。

NPOセンターとか、いろんな中間支援団体は、
この手の講座やサポートを、
わりと格安でやってくれます。

でも、本当に事業を拡大している団体は、
そういった格安なカンフル剤をうって、
それで終わっているわけはなくて、
もう少し当たり前の「組織基盤の整備」をやっています。

それはたとえば、
事務所の規模を大きくするとか、
コンピューターのハード面、ソフト面の導入とか、
追加人員の確保とか……

ま、IT支援であれば、
わりと支援してくれる中心支援団体もあります。
ハード面であれば「イーパーツ」
ソフト面であれば「TechSoup(テックスープ)」とか。

しかし、事務所を移転するとか、
追加人員の確保とかは、
どうしても、一般企業とほぼ同等の資金が求められます。

資料で記載されている「組織基盤の整備」は、
どちらかというと、この手のハード面のお話が中心です。


○1回限りの"成長キャンペーン"で
組織基盤のための資金集め



この手の「組織基盤の整備」の難しいところは、
これでは寄付を集めにくい、という点。

資料でも、以下のように記載されています。

個人の寄付者は、
組織基盤の整備にお金が使われることを好まず、
自分たちのお金が直接活動に使われることを望む。


ビジネスの世界なら、優れた組織基盤を持つことが
成功につながることは広く理解されている。

お金を稼ぐにはお金が必要だ。

しかし、社会セクターでは、
この考え方で寄付者の心をつかむことはまだできない


この点では、アメリカも日本も、
現時点ではまだまだ同じ状況とはいえます。
そして、それでもお金を集めるには、
キャンペーンを行うしかないのも、
アメリカも日本も、どこも一緒。

資料には、"成長キャンペーン"と書かれていますね。
1回限りのイベントとしてやるキャンペーンですね。

具体的に言えば、

「もっと広い場所を確保するために、
3000万円必要なので、そのための募金をお願いします」

といった感じでしょうかね。

1回限りのイベントとしての資金集めとしては、
最近では、マッチングギフト形式の支援
(集めた額と同等の寄付をくれる)もちらほら出ているため、
そういったのと併用していくのも一つの手なのでしょう。

クラウドファンディングも、
1回限りのイベントとしてやるキャンペーンで用いると、
資金確保としては、より使いやすそうですね。


○NPOの組織基盤整備を評価するのは
まだまだ難しい



最後に、組織基盤整備と、
社会セクター、非営利組織の評価との兼ね合いについて。

一般企業でもそうですが、
組織の評価には、定量的な基準が欠かせません。

一般企業の場合は、
企業が公開する財務諸表に対して、
ROE(株主資本利益率)とか、
複数の評価指標が確立されています。

それに比べて、NPO等の場合は、
上記の評価指標は使えません。

それでも、定量的な基準による評価が求められるのは、
当然の社会的ニーズというわけで、
NPO評価でこれまで往々にして使われているのが、
「経費率」という考え方。

資料の記載を借りれば、

経費率(%)=

事業活動に対して使った費用 ÷
運営維持(事務管理や資金調達など)費用


で、この%が低いと、
効果的に事業活動にお金を使ったことになり、

これが高いと、
効果的でない、あるいは中抜きが著しい、
な〜んて「言われる」ことになるわけです。

「言われる」と、どういうことになるかは、
皆さんも十分想像がつくでしょう。

当然、悪評たてられたくない、評価されたい大手NPOなどは、
この経費率を、いかに下げるか(少なく見せかけるか)に、
 少なからぬ神経を注ぐことになります。

「これのどこが問題なの?」という人も、
いるかもしれませんが、
これが大ありなのですよ。

資料の指摘を引用すると、

影響力、つまり、その投資によって実現した
変革の程度や成果を評価するのではなく、

資金投入額や費用比率で評価するという
罠に陥っていることだ


ここからが大切。

このような評価基準では、
人材やIT、運営にほとんど資金を使っていない組織を
寄付者が支援するのを促す危険性がある。

よくても組織の劣化
悪くすれば粉飾会計を招く可能性もある


ものすごくわかりやすく(というよりいやらしく)書くと、
事務員も含めすべて人件費が0円(当然サビ残)で、
長期的視野、持続的な支援なんて考えていない、
(いつ事務所とかたたんでもいいと思ってる)

そんなブラックNPOこそが、
従来の評価基準では、よいNPOということになる。

これは、長期的に見れば、
組織が劣化することは目に見えています。

もちろん、企業だっておんなじです。
人件費含む経費をなるべく下げて、
より売り上げを上げた企業が、よい企業となる。

ただ、企業の場合は、転職市場がそこそこ賑わっていれば、
優秀な人材はもっと条件のいいところに流れる。
(教科書的な書き方であって、日本ではそうなっていませんが)

その結果、優秀な人材を集めたところ、
および、関連する組織基盤を整備したところが、
企業の価値を高めてくれる。

なにより、ROE等の評価指標の向上に寄与する。

NPOもそうなるべきだと、個人的には思うのですが、
評価指標がゆがんだままでは、
上記の健全なサイクルが阻害される。
(それ以外にも、課題は山積みですが)

資料に記載されている「偉大なNPO」は、
その点で、従来の評価基準では、
あまりいい評価はされていません。
経費率による評価指標では、
偉大なNPOを定量的に判定できない。

そこで、もう少し別の評価指標を用いようということで、
編み出されたのが、

SROI(社会的投資利益率)
これを求める式は、

SROI(%)= 一定期間の社会的成果 ÷ 投下された資源額

経費率と違って、社会的成果、
資料で言えば

「影響力、つまり、その投資によって実現した
変革の程度や成果」を重視するところに違いがあります。

とはいえ、SROIでいう「一定期間の社会的成果」を、
どのように算出するのか、といった課題も山積みです。

SROI導入の難しさ、およびポイントとなるところは、
以下のブログが参考になるかと。

"SROIの導入のポイント(たぶん) "
http://trans.hatenablog.jp/entry/2013/05/08/204235

そして、SROIの注意すべき点として、
これまでさんざん記載してきた組織基盤整備の重要性を、
必ずしも正確に反映してくれるわけではない。

まずは、以下の記事を参照。

"TCAP’S VIEW & INSIGHTS #006 / 社会的価値をどう測るか
 ROEでもROIでもない”SROI”と、
 ソーシャルビジネスにおける効率性の罠"
http://sbr.tcap.jp/?p=1317

この記事には、

「SROIは生み出された社会的価値の絶対値を図るものではなく、
 数字の解釈、資金を投入するタイミングで
 その値が変わってくるものなのだ。」

と記載されています。

具体的には、記事の文書をそのまま引用すると、

・あるソーシャルビジネスは初期投資が非常に大きく、
一年目は1,000,000円換算の社会的価値を生み出したが、
投資も1,000,000円であった、としよう。

すると SROI=1,000,000/1,000,000=1.0 である。

・二年目は活動がうまくいかず
社会的価値の金額換算が800,000円になってしまった。
しかし、一年目の初期投資ほどの投資は発生せず、
投資額は400,000円であった。

この場合、SORI=800,000/400,000=2.0である。

・二年目は社会的価値創出が縮小しているにも関わらず、
SROIは向上している。

SROIだけを見ていると、
二年目は一年目と比較し数値が向上しており、
評価は「二重丸」になってしまう。


組織基盤整備と評価の関係で見ると、
組織基盤整備を進めた年は、
どうしても、SROIも下がらざるを得ない。

そして、組織基盤整備をやって、
すぐに成果が出るなんてこともありえない。

そのへんで、SROIも絶対視できない指標ではありますね。

ま、結論から言えば、

短期的利益と効率性が求められてきた営利の世界と比べて、
社会セクターやソーシャルビジネスの世界においては、

SROIのような効率性指標はその意味を理解したうえで、
より慎重に活用する必要がある。


そのとおりですよね。

 

…『世界を変える偉大なNPOの条件』を見ていくシリーズも、
予想を超えて、延びに延びましたね。

30回って。

次回からは、ここまで引っ張ってきた内容を元に、
もう少しぶっちゃけ話とか、
いろいろ考えてみたいと思っています。

「いや、『世界を変える偉大なNPOの条件』で書かれてること、
ふつうのNPOには、できませんから!」

とかね。



※この記事は、P-SONICのHP記事より転載しております。
http://www.psonic.org
posted by ccc_summit_hiroshima at 17:18| Comment(0) | 社会起業トピック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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